72年の本作は当時夫であったスティーヴィー・ワンダーの後押しを受けて発表されたシリータ・ライトのデビュー・アルバム。
現在ではフリーソウルというカテゴリーに入るであろうライトなソウル・ミュージックで、スティーヴィーのバックで歌っていたデニース・ウィリアムスを彷彿させる声が特徴だ。
サウンドの方はほとんどの曲をスティーヴィーが創っている為、当然その色は濃い。
72年辺りから本格的に使用されたシンセサイザー・システム(通称TONTO)を駆使して演奏に至るまでをスティーヴィーが中心となって行われた。
元々は秘書としてモータウンに勤めていたようだが、スティーヴィーと出会い、共作なども残している。
丁度その頃スティーヴィー自身は「Music Of My Mind」が発表されているので、中身も似た雰囲気の楽曲が多い。
そんな理由からこのアルバムはMusic~の姉妹作品という位置付けになる。
スティーヴィーのアルバムと決定的に違うのは、このシリータの作品の方が流れがスムーズであるという事であろうか。
どの曲も聴いていてすんなりと入ってくる。
それでいて彼女の声が特徴的であるので、しっかりと耳に残るのである。
参加ミュージシャンはスティーヴィーの他、バジー・フェイトン(G)、ゴードン・エドワーズ(B)、キース・コープランド(Dr)。
このメンバーという事はリズム・トラックの制作はニューヨークだと思われる。
アクの強いヴォーカル・スタイルばかりがソウル・ミュージックではない、クラブ・シーンに通用するサウンドを現代だからこそ堪能して頂きたい作品である。
83点
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