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日本人はよく音楽をカテゴライズしすぎであるという声をしばしば耳にする。
裏を返せば、それだけたくさんの音楽を聴いて似たようなタイプのアーティストを捜したりアーティスト自身のバイオグラフィーを調べる、その上で、より深くそのサウンドを理解しようとする人が多いように思う。

このコーナーでは「AOR」というジャンルをキーワードの1つとして取り上げているが、ここにご紹介させて頂く主人公ジノ・ヴァネリのサウンドは、スティーリー・ダン同様、なかなかカテゴライズし辛いのが正直な所だ。
そのサウンドはまさに「ジノ・ワールド」そのもので、初めてライヴ映像見た時も昔の80年代日本人アイドルのような振り付けしながらも、まったく息を切らさず熱唱している所に驚かされた。

当時はアイドル的人気だったようで(ルックスも郷ひろみのようだった)ジノ・サウンドに女の子達の黄色い声が飛ぶという、面白い画だった。

70年代から実兄ジョー・ヴァネリを中心にアナログシンセ(当時はポリフォニック・シンセがない時代)を駆使して重ねた「音の壁」を構築し、ジャズに影響されたという複雑なコード進行や展開、やたらと手数の多いドラムなどプログレ+フュージョンといった所か。

そんなスタイルにAOR的エッセンスを塗したのが本作で78年発表。
バックにはタイトル曲で驚異的な早弾きソロを披露したイエロー・ジャケッツのレフティー・ベーシスト、ジミー・ハスリップやBGVで華を添えるウォーターズ姉妹、ステファニー・スプルールなどもいるが何と言っても、この作品をきっかけに一躍トップギタリストの仲間入りを果たしたカルロス・リオスに注目である。 

シンセ・ベースと生ベースの切り替えにも注目したい①Appaloosaのイントロからギターが全面にフィーチャーされており、フレーズも非常によく練られているのが分かる。
とにかくジノのヴォーカルを邪魔せず、しっかり主張する所は主張する。
ラリー・カールトンの一番弟子であるカルロスだが、この時点で無名ながらもしっかりと自分のスタイルを築きあげている事が確認出来る。

カルロスの活躍ばかりが目立ってしまいがちだが②The River Must、④FlowLove & Emotionを始め、楽曲も素晴らしい出来のものが多い。
中でも全米4位を獲得した③I Just Wanna StopはAORというジャンルの中でも屈指の名曲に挙げる事が出来るし(それまでたくさんの曲を書いてきたジノではなく弟のロス・ヴァネリが書いたというのが皮肉な話だが)、プログレ+フュージョンの典型的ジノ・サウンドとも言えるタイトル曲⑥Brother To Brotherなど佳曲揃い。
難解な展開をしっかりと"聴かせる"楽曲にまとめられるあたり、この人は天才ではなく"奇才"だと思う。

93点 
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