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まずはこのジャケットに注目して頂きたい。
何とも言えない渋さ。
AOR=アダルト・オリエンテッド・ロック(もしくはアルバム・オリエンテッド・ロック)。アダルトと付くからには歌い手自身も年齢に限らず、落ち着いたサウンドを志向している場合が多い。


間違ってもジャケ買いしないであろう写真だが(でも、私はかなり好きです!)AORの場合は総じてヒゲ面、そしてポートレイトのような表情に乏しい写真。
しかし、内容はジャケットから受ける印象に反して歌声、サウンド共に"優しい"とか"心地良い"ものが多い。
そして本作の主役であるビル・ラバウンティのような渋みがあってソウルフルな歌声、程よくファンキーなサウンドこそAORの神髄である。 

82年発表のアルバムだが、一般底には78年発表「This Night Won't Last Forever」のイメージが強いものの、サガワ的イチオシは断然こちらである。
その理由はトップ・レコメンドでもある①Livin' It Up。作詞・作曲はビルの他にあのバリー・マン、シンシア・ワイル。
もはやAORクラシック化した超が付くほどの名曲で、この1曲の為に本作を手に入れても決して後悔はしないであろう、それほどの素晴らしい楽曲である。
様々なアーティストにカバーされたこの曲のオリジナルバージョンはエレピとアコピによるリフやコード・バッキングはもちろん、ビル自身のしゃがれた声が堪らない。 
加えてデヴィッド・サンボーンが吹くサックスにとても色気があり、この曲の魅力に一役買っている点も見逃せない。

続く②Didn't Want To Say Goodbyeで出だしの歌声にやられてしまい、まさにビル・ラバウンティ節炸裂である。
どれも佳曲揃いのアルバムであるが、⑧It Used To Be Meで完全にノックアウト。本当に泣ける歌とは、こういう曲を指すのだと思う。

80年代のアルバムとはいえ、デジタルサウンドとは無縁の本作、今聴いても全く古臭さを感じない。
ゲスト・ミュージシャンも多く、ジェイムス・テイラー、スティーブン・ビショップ、パティ・オースティン、ジェニファー・ウォーンズ、ジェフ・ポーカロ、スティーブ・ルカサー、スティーブ・ガット、ウィリー・ウィークス、デヴィッド・サンボーン、チャック・レイニー、グレッグ・フィリンゲインズ、ディーン・パークス、レニー・カストロと、これでもかと言わんばかりの全米超一流ミュージシャン夢の共演。

そうして出来上がった珠玉の名作、39分間をぜひご堪能あれ。 
94点